アンタエウスと国産オオクワガタ 飼育方法の違い

 外産と国産、合計300頭以上の実験飼育による結果からクワガタ幼虫の食文化を考察すると基本的にインド・ネパールアンテは、”土喰い”、国産オオクワガタは、“木喰い”になると思います。従って、産卵の仕方と幼虫の飼育方法を同じにしたのでは良い結果を期待することができません。

 私なりに”土喰い”から ”木喰い”までの順位を決めるとすれば、インド・ネパールアンテ → ミヤンマーアンテ → マレーアンテ・グランディス → ホーペイ → 国産オオクワになります。おそらく、生息域の温度により摂取できる食物が異なるので、幼虫の体質が環境に適用するものに変化したと推測できます。

 居場所の周りでバクテリアを利用しています。  2000年5月羽化 国産山梨79mm

 飼育結果から全てのクワガタ幼虫の体内にバクテリア等の共生微生物が存在することは大きな成虫になる為の必要条件なので、幼虫の体内にバクテリアを移譲させる為に2齢中期まではバクテリアマット喰わせ用を使用して下さい。バクテリア等の共生微生物が含まれていない菌糸を初齢から食べさせることは敢えて小さなな虫を作る結果になります。 
 しかし、3齢からはバクテリア等の動物性微生物が菌糸を支配する育て方(アンタエウス)と菌糸の劣化を考慮しながら菌糸に支配されたバクテリアビンを食べさせる育て方(国産オオクワガタ)に区別して飼育してください。

 つまり、インドアンタエウスは体内共生(動物性微生物)を主にした育て方が適していますが、国産オオクワガタの幼虫に関してはキノコが作成した成分を主に与えながら、”バクテリア等の共生微生物を常に補給する”という育て方が適しています

 なぜなら、80mmの成虫♂になる為の幼虫の重さがアンタエウス(インド、ネパール)は40gも必要なのに、国産オオクワガタは27g〜28g有ればよいので体内での代謝が違うと考えられます。
 このことからアンタエウスの幼虫は、主にバクテリア等の共生微生物を消化吸収して成長するので、バクテリア等の共生微生物の餌になる菌床(菌糸とオガ粉)をより多く体内に詰め込む必要がありますが、国産オオクワガタは栄養価の高い菌糸を主に食べて消化吸収すると同時に、菌糸以外の摂取物であるオガ粉を食べて体内で繁殖したバクテリア等の共生微生物をタンパク源として消化吸収していると考えられます。

 従って、国産オオクワガタは、菌糸に含まれるタンパク質とバクテリア等の動物性タンパク質の両方を幼虫の年齢と状態を考慮しながら与えて飼育しなければならないと考えて下さい。国産オオクワガタは菌糸の状態がかなり影響すると考えられます。

 結論として、体内の状態が異なるのであれば育て方も変えなければ大型は望めないことになり、アンタエウスと国産オオクワガタでは当然バクテリアビンの使い方(飼育方法)が異なります。

 アンタエウスと国産オオクワガタでは、食文化が異なります。

随時更新致します。
重要な事項を箇条書きにしました。(随時追加変更致します)

 アンタエウスと国産オオクワガタではバクテリアの使い方が異なりますが、常に体外からバクテリアを補給することは必要です。
 
 バアクテリアビンで国産オオクワガタを育てる時は、飼育温度を調整(20度位)して幼虫の期間を延ばして下さい。(一年半位)

 ※
アンテ、国産共に18〜20℃で飼育した方が良いと思います。

 2齢までの育て方はバクテリアマットを使用して体内に共生微生物を移譲する方法で良いのですが、3齢からの育て方に違いが生じ、マットと菌糸のどちらか一方を使用した飼育では偶然を期待しなければ、現在の所、最大サイズは望めません。

 菌糸の栄養価とキノコの種類がバクテリアの質や量に影響します。

 菌糸とバクテリアの力関係が問題になりますので、菌糸とバクテリアの支配する力を調整して、幼虫の種類と年齢に合った方法を採用しながらバクテリアビンを使用する必要があります。

 飼育途中の菌糸とバクテリアのバランスが異なり、国産オオクワの時は菌糸がバクテリアビンを支配している期間が長くなるように調整して使用します。

 アンタエウスの場合は、菌糸がバクテリア等の微生物に食べられてマットの様になっても栄養価が残っていれば同じバクテリアビンで可なり長い間飼育することができます。
 しかし、国産オオクワガタの飼育では、菌糸の残り具合に気を配らなければならないので、外観が白くても内部を幼虫が殆ど食べ尽くしている場合があるので上部を掘る等して確認をすると同時に早めに入れ替える必要があります。

 国産オオクワガタを極端にバクテリアだけで育てると幼虫の期間が短くなる傾向がありますので、菌糸を主に食べさせながらバクテリアを補助食として控えめに食べさせて下さい。

 アンテは菌床を崩して入れますが、国産は幼虫が入れるだけの穴を空け坑道は幼虫に掘らせてください。国産は堅めを好みます。

 国産の幼虫を極端にバクテリアを繁殖させて黒くなったバクテリアビンで飼育したところ、♂♀共に30mm〜40mmで成虫になってしまい、殆どの幼虫が大きくなれない傾向が生じました。

 
アンタエウスと同じ様に国産オオクワガタを育てても大きくなりません。注意してください。