従来の菌糸ビン飼育に於いて、皆さんはおそらく気付かないまま大型の作出を行ってきたと思います。期待とは裏腹に大型作出の確立は非常に低く、訳も分からず添加剤と称する栄養剤?が反乱する中で、思惑だけが先行する菌糸ビンを採用してきた様にも見受けられます(実は私もそうでした!)。
さらに過去、大きなものが出たという噂だけを耳にして、その理由を知ること無しに、良いとされている菌糸ビンを意味なく使用してきた様にも思えます。そして、その度に裏切られてきたと考えることも出来ます。
全ての生き物には遺伝的要素があり、突然変異が無ければ、決してそれを越すことはありません。つまり、成虫の最大サイズは卵の時に決まってしまい、私達が幾ら努力しても最大要素を越させることはできません。できるとすれば、その要素を100%引き出させることが限界です。
そこで、飼育に対する考え方を改め、大きくしようとするのではなく、大きくなれる環境を与えれば各個体の成長を最大限引き出すことが出来るという考え方を採用しました。
本来、クワガタの幼虫(国産)は雑菌がいないキノコの菌糸だけが腐朽した材の中で成長するので、必要な栄養分はキノコが作った物だけしか摂取できません。つまり、幼虫がより大きく成るためにはミネラル類の他に多量のタンパク質が必要に成りますが、キノコが作成したタンパク質だけでは必要量の確保が出来ず大きく成れば成るほど不足します。その結果、殆どの幼虫が自己最大サイズに成れないで羽化していると判断して良いと思います。当然、菌糸ビン飼育についても同様のことが言えます。
その中で、”なぜだろう?”と言う思いを例外的に大きく成れたものの生育過程を振り返り、その理由を実際の菌糸ビン飼育から理論的に導き、偶然性を否定したいと考えました。・・・・
”飼育方法トラの巻”は、今まで行ってきた菌糸ビン飼育にバクテリア等、共生微生物の存在を応用することにより、私自身の長年の疑問を解決できるものとして掲載しました。
2001年5月1日
菌糸ビンにバクテリア等の動物性微生物を封じ込める方法は完成しました。
2000年に制作した量産用試作品
バクテリアビンと言うより”マットビン”と呼んだ方が適切でした。バクテリアを菌床の中に押さえ込む方法はたくさんありますが、持続させることが非常に困難で、アイディアと新しい考え方が必要とされました。
バクテリアビンと菌糸ビン
上がバクテリアビン
下の菌糸ビンと見分けがつきません。
バクテリアを菌糸の中に封じ込めることに成功したので、幼虫が砕いた部分の中に含まれるバクテリアだけが目を覚まし繁殖します。従って長期間の使用を可能にしました。
制作には総合的な知識と経験が必要になります。 |