大型は血統から

 同じ親から出た47mm位の♀3頭に71mm、74mm、79mmの雄をかけた場合、25g以上の♂幼虫が出る割合は♂の大きさに比例すると言えます。私が行った実験では、各々50匹合計150匹位の幼虫を育ててみましたが、71mm:74mm:79mm=3:6:25位で圧倒的に79mmの子供に大きな幼虫が現れました。
 更に、50mmのメスに71mmのオス、49mmのメスに73mmを掛けた時も同様に大きなオスの幼虫は数匹しか現れず、今まで幼虫の大きさはメスの大きさも影響すると思っていましたが、そうではなく、その殆どがオスの大きさで決定すると思う様になりました。
 そこで、大きな成虫を作出したい時はどうしても大きなオスが必要になります。しかし、最高の条件で幼虫を育てる事が出来なければ、その幼虫の素質が分からず、いつまで経っても感に頼ることに成ります。
 従って、大きく成れる血統を見極める為にはその個体を最大サイズにすることが必要になりますので、その幼虫に最も適した飼育環境を与える事が先決になります。

 例えば、幼虫を大きくする為には広い意味で餌の内容がとても重要で、最終的に体内の状態が成虫の大きさに非常に影響しますので、只単にキノコの菌糸を与えただけでは最大サイズに成る事ができず、その幼虫の素質を知る事はできません。
 大きくする事が、どうしても必要になります。

 2000年4月に選別しておいた純血山梨産幼虫5匹の内2匹がバクテリアビンを使用しないで79mmを越しました。これらの幼虫は、材飼育により97年8月に羽化した山梨産純血種オス79mmの子で、最大体重が30gに達する事ができたのは、大きくなる要素を持っているからで個体の資質は当然、無視できません。

 大きくする為に最良の環境を与えることについて議論の余地はありませんが、如何に良い環境で育成しても大きくなる遺伝的な要素が優先し最大体重は血統により決まりますので、親虫の遺伝的な要素は絶対で大きくなる要素を持っていることが不可欠です。

 思うに、殆どの成虫が最大サイズに成っていないのが現状でしょう。