考え方の基本

幼虫の重さと成虫の大きさ

 幼虫の時に、体内に外骨格になる成分を如何に多く蓄えるかが問題なので、只単に幼虫が大きいからと言って大きな成虫に成るとは限りません。
 つまり、クワガタムシは完全変態なので蛹化の時に不要なものは全て体外に排泄してしまうので、幼虫の大きさが成虫の大きさに直接反映されません。
 従って、体内の状態が成虫の大きさを決定しますので、
小さな幼虫が大きな幼虫より大きな成虫に成ることが出来ます。
 幼虫を幾ら大きくしても意味の無いこともあります。


菌糸

 自然のオオクワガタは決して菌糸の強い所に卵は産みません。なぜなら、キノコの菌糸は異物に対して攻撃的で、幼虫が育つどころか3齢幼虫でさえ殺してしまうので、必ず菌糸の弱い所若しくは菌糸の活動が終った所に卵を産みます。
 そして、そこで孵化した幼虫は体力に自信が付くと大きく成る為に菌糸の強さを判断しながら栄養価の高い菌糸の強い所へ移動して行きます。従って、菌糸ビン飼育で若齢幼虫を菌糸の強い所へいきなり入れたら菌糸から命を守る為に大きくなることを放棄して小さいままで居続けると思われます。
 なぜなら、菌糸に対して耐性が付く前に大きく成ることはそれだけ菌糸の影響を強く受け、生命に危険を及ぼす恐れがあるからです。
 つまり、初齢幼虫を
菌糸の生きている菌糸ビンにいきなり入れることは大きく成れない状況を敢えて与えていることを意味しています。結果として、大きくする目的が逆に小さな成虫を作る結果に成っています。 


体内のバクテリア
 馬や牛と同じ様に消化管内のバクテリア等の共生微生物は非常に重要で、体外から摂取した食べ物を消化吸収するだけでなく、幼虫の体内で随時繁殖する動物性微生物その物をタンパク源とした方が、体外から菌糸が作成した限られた量のタンパク質を摂取するよりも遙かに効率が良いのです。つまり、幼虫の意志には関係なく体内でタンパク質が作成されるので嗜好性をある程度無視することも出来ます。
 そこで、
出来る限り早い時期に幼虫の体内に多量のバクテリアを移譲することは非常に重要で、幼虫が摂取する餌の内容がバクテリア等の繁殖に適していることが決め手に成ります。
 さらに、若齢幼虫が食べるバクテリア等を含んだ餌の分解速度は、幼虫の成長に比例する工夫が必要で、期間を考えに入れて調整することが大きく成る為の重要な課題になります。
 卵の孵化直後からバクテリア等の共生微生物を与えて下さい。2齢中期までの体質が大きさ等全てを決定すると思われます。 

遺伝的要素
 各々の個体の特色として、棲息域を守ろうとする体の大きなものと、棲息域を広げようとする体の小さな遠くまで飛んでいけるものの2つに分かれると思われます。
 棲息域を守る個体は当然強いことが望まれるので、大きいことが当然の要素になります。しかし、大きいと言うことは飛ぶことが下手でいつも同じ場所に棲息しているので、採取されやすく、その数が瞬く間に激減したと想像されます。つまり、遺伝的に大きくなる確率的要素を持っているものが自然界から減っていくと言うことを意味しています。
 その反面、体が小さくて遠くまで飛んでいけるものは、広範囲に散らばりその数も多いので、人間も含めた外敵にやられても、その数はある程度維持できます。要するに、種として採取出来るものは大きくなる要素を持っている確率がかなり低くなっていると言うことです。
 更に、環境破壊によって条件の良い産卵場所が無くなり充分に栄養を取れないので、大きくなる要素を持った個体も大きくなれないと考えることも出来ます。そこで大型を狙うには棲息域を守る遺伝的要素を持っている個体を探し出す必要があると思われます。
 最初は偶然に頼るところが大ですが、あまり大きくない個体にも大きくなる遺伝的要素を持っていますので、
血統を重視してチャンスを見逃さないことが大切です。

育て方
幼虫は無制限に大きく成らない。

 つまり、成虫の最大サイズは血統(遺伝)で決まっています。そこで、大きくするのではなく、その個体が遺伝的に成長できる最大サイズに成れる条件を与えることが秘訣に成ります。