材飼育

材飼育は基本です。

カワラタケ菌飼育材の基本的なことが書かれています。

 材飼育はオオクワガタ飼育の基本で、その経験はとても貴重な知識を我々に与えてくれると私は信じています。材飼育は飼育ビンと違ってその中を見ることができないので成長の過程が分からず興味に欠けるところがあります。しかし、飼育材の外見と重さから内部の状態を想像することは非常に重要なことで大型の作出には欠かせない情報を感じ取ることができます。

 特に幼虫が現在飼育材のどの位置に居るかということは水分量に非常に関係し、材が乾いてくると幼虫は材の中の水面?を探すかの様に下の方へ移動して行きます。つまり、材中の水分は幼虫の経過に重要な影響を与え、その成長にも関係があるといえます。
 幼虫は自分に一番適した水分の有るところ、つまり菌糸の状態が良いところを探しながら移動するようです。菌糸の成長が良いところは程良く材が分解されているので食べやすく、消化吸収の良い状態になっているので幼虫は好んで移動して行きます。
 そして、気に入った所があると一度食べた跡を砕いた木くずで埋め戻しをしながら進み、埋め戻した跡に菌糸が再度蔓延するのを待って、180度反転して一度食べた跡の喰い戻しを行います。つまり、材の中に菌床の様な状態を作り、可能な限り繰り返して同じ所を食べるのです。従って、幼虫を入れる材は菌糸が良くまわっていて堅い材の方が力もあり適しています。
 自然の幼虫はかなり堅いところに集中して入っていることからも伺えると思います。

 菌糸は養分を消費して材を劣化させますので、長く時間の経った材は避けて、タイミング良く幼虫を埋め込んでください。尚、劣化した柔らかいカワラタケ菌材は産卵の数もかなり多く産卵木に非常に適しています。

 ヒラタケ菌は幼虫に対して比較的無害ですが、カワラタケ菌は必要以上に異物として攻撃する傾向にあるので、カワラタケ菌飼育材の場合には比較的菌糸の弱い所を選んで幼虫を埋め込んでください。後は幼虫任せになります。
 飼育途中で材の状態を確かめる時は、カッター等で角を削ってみて2−3日位で菌糸が出てくるようなら大丈夫です。

 水分を十分吸わせた直径25cm長さ30cmの飼育材は上下にビニール等で被いをして通常は2年間そのまま使用できますが、重量が異常に軽くなった時はカッター等で下側を削り再度水を吸わせてやる場合もあります。

 当ドルクスクラブでは、今までカワラタケ菌天然材飼育も行って来ました。そのノウハウは経験でしか会得できない貴重なもので、菌糸ビン飼育に於いてもその経験は特に重要で大型の作出にその考え方は絶対必要とされます。
 好評販売中のバクテリアビンは今まで材飼育・菌糸ビン飼育から知り得た経験に学術的な考え方を加えて、理論的に無理の無い飼育用品として完成しました。


 材飼育の特徴を知らなければ、菌糸ビン飼育に於いても大型の作出は有り得ないと確信しています。

[国産幼虫の材飼育]
 天然材飼育の場合、殆どが2年一過型になり、大型の出る確率が非常に高くなります。直系30cm、長さ45cmの飼育材には4〜5匹の幼虫を入れることができるので、後は水分量(材の重さ)と温度に注意して2年間そのままで良いことになります。
 使用する材は菌糸が全体に蔓延しているがフカフカのものは避けて、切り口が堅く幼虫と一緒に菌糸も育っていく状態のものが好ましく、芯がまだ残っている位で良いと思います。
 幼虫を入れる場所は、菌糸の強い所と弱い所の境目で菌糸の弱い所へ入れれば、幼虫は自分で判断して居場所を探します。菌糸の強い所へいきなり入れると嫌がって中へ入らないことがありますので注意が必要です。。
 又、材質によっては2年間保たない時が有るので、時々材の周りを押してみて柔らかい様で有れば交換してください。交換と云っても、ただ新しい材の上に乗せて置くだけで幼虫は自分で判断して新しい材に移ります。
 古い材と新しい材の接している部分に坑道ができれば幼虫は必ず新しい材に移っています。

 

榎木天然材(直径50cm 高さ47cm)          榎木天然材(直径30cm 高さ50cm)