工事中

菌糸の腐朽菌糸の蔓延

 新しい植菌方法の考え方について掲載致します。
工事中に付き、随時変更書き換え致します。

 ヒラタケ菌等キノコの菌糸を蔓延させた木材(植菌材)を作る場合には、主にカビ等の雑菌から菌糸を保護する為に木材に菌糸を植え付ける前にオートクレーブ等の加熱減菌処理をしなければなりません。
 しかも、この減菌処理には多大な労力と時間を必要とし、更に悪いことには、原木を加熱処理することにより木材本来の特性が失われ、折角作成した植菌材の使用期間が極めて短くなり、キノコ栽培の生産性も低下します。

 又、空気中には数多くの微生物が存在し、減菌処理をしたとしてもキノコの菌糸より遙かに生活力の強い微生物の妨害を受け、菌糸が回る前に目的物を占拠されるか、菌糸が弱体化してしまう場合があります。

 しかし、自然界においては、何らかの原因で今まで生きていた木が急に生活力を無くし、その材に取り付いたキノコの菌糸が材内部に進入した状態を大きく分けると、”
外側からボロボロになり菌糸による腐朽が見られる材”と”釘が打てる程堅いのに完全に芯まで菌糸が回っている材”の2通りが見受けられます。

 その状態の比率は、圧倒的に前者の場合が多く、後者の状態が起こる確立は非常に低いのですが、後者の状態で菌糸が入り込んだ木材は生の木材であることからして、この事実は加熱減菌処理をしなくても菌糸は確実に生の木材に入り込むことができることを意味しています。

 この事から察するに、菌糸は何らかの状態を作り、空気中に存在する数多くの微生物を退けながら巧みに自分たちの居場所を確保していると考えられます。

 つまり、私たちが気付いていないだけてオートクレーブ等の加熱減菌処理を行わないで、且つカビ等雑菌の妨害も受けずに人工的に生の木材に菌糸を完全に回す方法があることになります。

 そこで、後者の状態を如何に作るかが課題であり、従来の植菌技術にはその考え方に不備があると言えます。

 通常の場合は、前者の様に、空気のある外側から芯に向かって時間を掛けて菌糸が回って行くので、材の中心部に菌糸が蔓延(はびこ)る頃には外側の部分がボロボロになり幼虫の飼育には適さない物に成ってしまいます。
 この状態は好気性の微生物であるキノコの性質を考えると当然に起こり得ることだと考えられ、材内部の養分を子実体として材の表面に運び出しながら材の腐朽が進むので材内部の水分と栄養価がどんどん無くなってしまいます。従って、いかに天然材とは言え、このような状態の物は当然飼育材としては不適です。

 つまり、
飼育材として適している材は、子実体を出さないで短期間に菌糸が回った後者である必要があります。
新しく開発した方法は、ビニールやラップフィルム等を使用して後者の状態を起こさせます。

   菌糸による腐朽菌糸の蔓延(まんえん)を区別しなければならないと感じました。
 多くの天然材を観察して感じたことなので多分に推測の域を離れませんが、製作工程における状態が極めて良好なので、空気を遮断する考え方が正しいのではないかと言える根拠を掲載致します。

[考え方
 長年にわたり多くの天然材を観察して感じたことなので多分に推測の域を離れませんが、植菌材試作工程における状態が極めて良好なので、植菌材製作に関する新しい考え方が正しいと言える根拠として公開致します。

 自然界において、最初偶然に材の表面全体に菌糸が蔓延り、その蔓延った菌糸膜の外側がカビ等雑菌の進入を防ぐために硬化して結界を作ったとしたら、一時的にしろ材全体が外界からの雑菌に対して隔離される状態になってしまうと考えられます。

 当然、材の表面で硬化した菌糸膜により材全体が外部からの空気の補給を断たれ、膜の内側部分で生きている好気性の微生物である菌糸にとっては空気不足という厳しい状態におかれ、菌糸は空気の有る材内部に向かって菌糸を蔓延らせるしか方法がなくなります。

 しかし、この事は、唯単に木材の表面に付着した菌糸の蔓延を阻害するカビ等の好気性微生物は、菌糸の様に空気のある材内部に簡単に入ることができないので酸欠により死滅するか弱体化してその数が瞬く間に激減することを意味します。

 更に材内部は空気中と比べて遙かに雑菌の数は少なく、菌糸にとって都合の良い条件が重なることになります。

 又、キノコの菌糸は他の好気性微生物と比べて空気(酸素)に対する適応性が優れていて、木材腐朽菌と言われる由縁は、木材の処理能力が優れていて居場所の状態に合わせる能力が高いとも理解できます。

 その結果、菌糸膜の内側に位置する材の表面は無菌状態とは言えませんが、菌糸にとって非常に都合の良い繁殖場所になり、材内部へ容易に入ることができるようになります。

 つまり、材の表面に蔓延った薄い菌糸膜の内側と外側で、その役割の異なる状態が偶然発生した時に短期間で材全体に菌糸は蔓延ることができると言うことです。

 結論として、植菌材を作る上で問題となったのは、なぜ後者の状態が起こるかと言うこととその状態を擬似的に行う為の方法に気付く事だったのです。