砂埋めによる霊芝の栽培
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お願い
このページに公開した内容は私が今まで行った実験から得た考え方で推測も含まれています。
クワガタの飼育にはキノコに付いて多くの知識が必要なので、推測になりますが、菌糸とバクテリアの関係で気付いたことがありますので、産卵木として関係のある霊芝の栽培を例にして公開しました。
[菌糸の腐朽に関する新しい考え方]
植菌材の外側の空気を遮断することにより蔓延速度が速まり、菌糸は短期間で植菌材の内部全体に蔓延(はびこ)ります。
なぜなら、菌糸は生命を維持する為に仕方なく材の内部に封じ込められている空気だけを使用して呼吸するしか方法が無くなるからです。
従って、”白色腐朽菌の白腐れ”に関して空気は単に多ければ良いと言うものではなく、空気に対する代謝の特質を利用して空気の有る所へ菌糸を誘導すると言う考え方で良いと言えます。
植菌後完全に外部からの空気を遮断して材内部の空気を強制的に菌糸に利用させることにより、菌糸の特性が強く現れ、短期間で植菌材全体に白腐れを起こさせることができます。
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主題
霊芝はシイタケ、ヒラタケ同様に好気性の生物なので当然空気(酸素)を必要とします。しかし、空気が無ければ生きていけない生物を何故砂の中に埋めて栽培を行うのかについて考えてみました。
[現在行われている砂埋めの考え方(推測)]
重要な栽培工程は2段階に分かれると考えられます。(植菌材を作る行程は除外します。)
第一段階 空気の遮断と水分の維持により植菌材内部への蔓延を速める行程
第二段階 子実体を出させる(子孫を残す)為に他の微生物の攻撃を利用する行程
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第一段階について
当初、植菌材を砂に埋めることは菌糸を蔓延らせることが目的と思えるので、空気中の雑菌の量を考えると最高の手段とは言えません。
なぜなら、第一段階を砂に埋めて完全に行うとしたら、砂を高熱で焼き減菌処理をした後に加水して湿り気を与え、その中に植菌材を埋めたのちにグランド整備用のローラー等で固め、ビニールシート等で覆いをしなければならないので大変な労力を必要とします。
又、砂埋めに使用する砂を減菌したとしても時間の経過と共に空気中から雑菌の進入を避けることができませんので、目的菌糸の純粋培養が困難になり効率の下がることがあります。
更に、もし、何らかの条件で菌糸の回りが遅れれば埋められた植菌材は微生物の中で一番強いとされている褐色腐朽菌(バクテリア)に食べられてしまいます。つまり、砂の中で菌糸の蔓延が速いか、雑菌の繁殖が速いかの競争になると思われます。
従って、菌糸の蔓延が急がれる時に他の微生物の影響を受けるかもしれないことを考えると、第一段階と第二段階を別の方法で行った方が効率が良い様に思われ、まだまだ改良の余地があると言えます。
つまり、植菌材を他の微生物が生存するかもしれない所に埋めることは、敢えて菌糸が腐朽することを阻害させてしまうことになります。
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結論として、空気の遮断と水分の維持を目的としているならば、砂の中に含まれる微生物は菌糸が腐朽することを阻害するので、同一菌糸だけで純粋に培養した方が良いと思われます。条件の良い所におかれたキノコは子実体を出さず蔓延に専念すると考えられるからです。
従って、空気の遮断と水分の維持を行いながら菌糸の蔓延を目的としているならば、ビニールやラップフィルム等で植菌材を包んで密閉した方が衛生的で目的菌糸の純粋培養を行うという点では遙かに優れていると思います。 |
[植菌材を土中に埋めるとキノコが生える訳]
土中に生息するの微生物(バクテリアの褐色腐朽菌)の攻撃を受けたキノコの菌糸は生命に危険を感じると子実体(胞子を作る)を作ると考えられます。
つまり、キノコも生き物である以上子孫を残さなければならないので、菌糸より遙かに生存力の強い褐色腐朽菌に食べられる前に子孫を残そうとする訳です。
また、新品より幼虫を入れてしばらく経った菌床の方がキノコは生え易い筈で、菌糸の組織を壊されることを感じた菌糸が同様に危険を感じるからだと思えます。
余談になりますが、私が以前行っていたディスカスのブリーディングでもPHの低い水に入れて、同様のことを行いました。
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第二段階について
第一段階終了後、時間の経過と共に砂の中で増え続けた他の微生物(バクテリア)からの攻撃を利用して子実体を出させる意図で砂埋めを継続しているならば、そのまま継続して埋めておくより、一度掘り起こし、水分を調整し良く撹拌して埋め直した方が効果的です。
なぜなら、キノコの菌糸は他の微生物(特にバクテリア等の褐色腐朽菌)の攻撃を受けると子孫を残す為に子実体を出す傾向にあるので、砂の中の好気性のバクテリアを活性化する為にも空気を混ぜる必要があります。
従って、このことから、砂埋めを利用した霊芝の栽培は菌糸の腐朽と子実体の採取を連続して行っている点に歩留まりの悪さを感じられます。
言い換えれば、植菌直後は他の微生物と隔離して目的菌糸の培養だけによる腐朽を行い、植菌材全体に菌糸が回り切ったことを確認してから、子実体を出させるために砂に埋め込んで他の微生物の攻撃を利用した方が効率は良いと思います。
当然、植菌材内部の子実体になる成分の備蓄量は第一段階から連続して行うより遙かに多いので、大きさ、質、量全てを考慮しても有利になるはずです。
つまり、砂埋めの行程は第二段階から行へば良いので、菌糸の蔓延(第一段階)とキノコの採取(第二段階)は切り離して考えた方が良いと考えられます。
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植菌後はビニールやラップフィルム等を使用して材外部からの空気を完全に遮断して材内部に残存する空気だけで呼吸させることにより菌糸の蔓延速度を速め、充分菌糸が回った頃を見計らって好気性のバクテリアが多量に含まれている所へ埋めるのが最良の方法と思われます。
子実体を出させる為には、菌糸と対立するバクテリア等の褐色腐朽菌が多量に含まれていることが必要条件になりますので腐葉土を砂に混ぜると良いでしょう。。
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