その11
結論
結論を言えば、飼育結果からインドアンタエウスのバクテリア対応能力が最も優れているので、最も進化していると推測できます。
さらに、進化の度合いにより体内処理能力が異なると考えられ、当然体内でバクテリアを利用している動物としての位置付けに差が生じます。
飼育結果
国産オオクワガタとインドアンタエウスを同じ様にバクテリアの大繁殖したバクテリアビンで飼育すると国産オオクワガタは全て大きくなりません。
その理由は、バクテリア利用能力の低い幼虫の体内で大繁殖したバクテリアの死骸や摂取した菌糸が腐敗してタンパク質が発酵するとアンモニアが生成され、もし、窒素を再利用するバクテリアが体内にいなければ発生したアンモニアを再びタンパク質に戻すことができないので毒性の強いアンモニアが幼虫の体内で増え続けることになると推測できます。。
その結果、グランディスの様にバクテリア対応能力が特に低い種類は成長する処か全滅する現象が生じます。
又、バクテリア対応能力の高い種類が口腔摂取を主に行う種類と比較して体も大きく重たくなるのは、体内で共生微生物の培養を行う為に多量の水を貯蔵する必要があるからで、水分貯蔵能力はインドアンタエウスの方が国産オオクワガタよりはるかに高く、体内微生物を有効に利用していると推測できます。
オオクワガタ、グランディス、マレー等は偏食動物?で、インドアンタエウスは悪食動物?と言うことができますので、オオクワガタより雑食のインドアンタエウスは許容範囲の広い飼育が可能です。
温度による産卵回数
天然の国産オオクワガタの棲息環境は厳寒の冬が影響するので産卵は通常年1回と考えられ世代交代の回数が少ないが、棲息域の平均温度が高いインドアンタエウスの産卵回数は条件さえ整えば年何回でも行うと思われます。もし、日本の気温がもっと温暖で1年中産卵できる環境があれば、オオクワガタの産卵回数も飛躍的に増える筈です。
すなわち、ライフサイクルが極めて速くなるので、国産オオクワガタの3年分?をインドアンタエウスは1年で過ごしてしまうと言う現象が生じます。
環境の変化による淘汰
1頭のメスが短い間に多くの卵を産むと言うことは突然変異による種の異変も起きやすく、環境の変化が起きた時に適した個体だけが生き残り、適さないものは死んでしまう確立も高くなります。つまり、生活環境が悪化して、体外から体を作る為の餌が充分取れない状態が続いた場合、タンパク質を体内で製造できるバクテリア利用能力の高い個体だけが生き残ったと考えてください。
従って、以前から生存していた種が環境異変により居なくなり、新しく出現して環境に適した種が子孫を残すことになります。
このことは、現況に適したものだけが生き残り易く、原形から離れていくことを意味し、棲息域の気象が種の入れ替えに影響していると推測できます。
ライフサイクルが短いと言うことは、突然変異等により環境に適した固体が生まれる確率が高く、その場所の棲息に最も適した個体が生き残り、適さないものは自然淘汰されていきます。
生き残る確立
全ての餌があれば、全ての種が安定して子孫を残すことができますが、もし、天候等の環境異変で口腔による餌の摂取が長い間できないとしたら、体内バクテリア利用能力の高い種は生き残る可能性が高くなります。つまり、今まで食べていた餌の摂取が困難になっても体内の状態で補うことができれば、その種だけが子孫を残すことが可能になります。
極端な例に成りますが、全てのクワガタ虫が口腔摂取を主に子孫を残してきたと考えれば、クワガタは全滅してもカブトムシは影響を受けないと言うことになります。
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